New Challenge

エアゾールOEM事業で
培った強みを活かし、
新たな事業の創出に挑む。

座談会メンバー 座談会メンバー

自動車・工業用品、塗料、家庭用品、化粧品等、さまざまな産業や生活シーンで便利に使われてきたエアゾール製品のOEM事業を基盤にし、拡大成長してきたエア・ウォーター・リアライズは、2016年、これまでも扱っていた化粧品分野でエアゾール製品以外にも広げ、化粧品受託事業への本格的な参入を果たした。その背景や、新たな事業に取り組む苦労や醍醐味、今後の展望とは。最前線に立つ2名の姿を追った。

Member

鎌田 勉TSUTOMU KAMATA

執行役員
研究開発本部・本部長
(兼)化粧品開発部部長
(兼)R&D戦略室室長

鈴木 昇

長年に渡り、大手化粧品メーカーで研究・商品開発に携わった後、当社へ入社し現職。

堀 隆行TAKAYUKI HORI

取締役
営業本部・副本部長
(兼)化粧品部部長

堀 隆行

旧キョーワ工業に入社。2007年、エア・ウォーター・リアライズ合併後、営業本部東京営業部部長を経て現職。

STORY01

化粧品ODM/OEM市場で注目されるプレイヤーになる為に。

エア・ウォーター・リアライズが、化粧品から家庭用品、塗料、自動車、工業に至る様々な分野において、エアゾール製品を中心としたOEM事業(製品製造受託)を展開し、拡大成長を続ける一方で、エアゾール業界は1999年をピークに、エアゾール以外の製品の台頭や環境問題などから年々生産量は微減・減少傾向に。さらに10年、20年、30年後を見据えれば、人口減少や環境対策もあり、エアゾールOEM市場が拡大していくことは難しい。そこで当社は、エアゾール以外の新たな事業拡大の柱として、化粧品ODM(企画・開発・製造受託)/OEM市場に着目。2016年に本格参入を果たすこととなった。

当時の構想である、「高齢化」、「女性」、「インバウンド」 から更に戦略に進化させ、お客様のニーズに応える技術開発を推進するのが、研究開発本部長を務める鎌田である。

「順調に推移していた化粧品市場がコロナ禍において縮小したものの、ウイズコロナに社会がシフトする中で徐々に復調傾向を見せている。そうした中、コロナ前のインバウンドやメイドインジャパンに頼る戦略だけでは、グローバル化している化粧品ODM/OEMの業界では勝ち残れないと考えています。また化粧品だけでなく、エアゾール市場においてもグローバル、SDG‘s、ジェンダーレス等、多様化する消費者の価値観とニーズに対応できる研究開発力を整備するのが喫緊の課題だと感じています。」

2021年に創設されたR&D戦略室の室長に就任した鎌田は、「イノベーション」 と 「マーケティング」を両軸に、隠れた消費者のニーズを発掘し、お客様視点でニーズを満たす。それらの融合によって、当社の顧客に新しい製品(コンセプトと技術提案)の提案を可能とする体制づくりを進めている。

STORY02

巨大な潜在市場を舞台に、新しい事業を創出。

2016年当時、東京営業部部長を務めていた堀は、当社が化粧品ODM/OEM市場への本格参入を果たした時、期待に胸を高鳴らせていた。「私自身、長年エアゾール業界に携わっている中で、今後はエアゾール製品だけでは厳しくなるという危機感を抱いていました。そのため、化粧品市場という巨大な潜在市場への本格参入に“これだ!”と腹落ちし、当社の未来が大きく開けるような想いがしました」

堀が営業本部副本部長 第二営業部部長(2021年度からは第二営業部から化粧品部へ組織名称を変更)に就任し、化粧品事業を任されることになったのは2020年4月。新しい事業の創出という、自身初めてのチャレンジに身を引き締めた。「自分自身が化粧品そのもの、また化粧品市場をしっかり理解しないと、到底事業推進の指揮は執れません。これは初心に戻って真摯に取り組んでいかねばと改めて感じました」

堀は化粧品市場の動向を客観的に把握しつつ、同時に営業の現場にも積極的に赴いてブランドメーカー等との商談を重ね、リアルな化粧品市場を肌で感じながら、化粧品についての理解を深めていった。

STORY03

お客様と“共に創り”、“共に成長”する。

引き続き、化粧品への理解を深めていく一方で、堀が苦労していることの一つは、新たなターゲットの選定だ。「製品製造を受託するOEM事業ならば、これまでの経験を活かして戦略を考えることができます。しかしながら、企画・仕様・開発から製造まで受託するODM事業については、私たちの経験が浅い領域であるため、OEM事業で取引のある化粧品メーカーのお客様に加え、私たちからODMの提案を仕掛け、共に事業創出を実現していける新たなお客様を選定、開拓していく必要がありました」

堀が今目をつけている新たなターゲットは通販市場だ。「コロナ禍で経済状況が厳しい中、通販市場は成長している分野です。その中でも手応えを感じている新規開拓先の一例は、異業種から参入してきたファブレス(工場を持たない会社)のメーカーのお客様です。マーケティング・販売機能は持っていても、研究開発・製造の機能は持ち合わせていない。そうしたメーカーのお客様に、当社が持つ研究開発・製造の機能や、ものづくりの豊富な経験を提案することによって、市場に求められる商品づくりを一緒に実現していくことができると考えています」

つい先日もこんなことがあった。「今アプローチしているスタートアップのメーカーの社長様曰く、現在の化粧品業界を見渡すと、これまでにない価値を付加した商品を生み出す余地がありそうだ。また、新規参入企業だからこそ夢と理想を追いかけて、化粧品業界に一石を投じることができるのではないかと。こうした夢を語る方となら、共に創ることができるなという手応えを感じました」

堀の役割の中で、新たなターゲットの選定・開拓はONE OF THEMに過ぎない。組織を横断する事業ユニットの結成、原料や容器、外注先などのパートナー企業の選定、各種仕組みづくり(定義・基準の設定、商品戦略立案・実行)、人材育成……など、やるべきことは山積みだ。「鎌田さんとタッグを組んで取り組んでいますが、その中でも私は、営業責任者に留まらず、化粧品事業という戦略事業を成功に導く先導者にならなければならないと自覚しています」

STORY04

商品開発の要は、差別化された使用感と機能。
そして、隠れた消費者ニーズの掘り起こし。

一方、鎌田は、化粧品ODM/OEM事業において後発である当社が、お客様に選ばれる企業になるためには、“使えばわかる差別化された使用感と機能” そして、“隠れた消費者ニーズの掘り起こし” が必要な要素と考える。
「骨格となる処方はできましたが、営業がお客様に “市場価値の高い商品” であると説得力を持って提案するには、その使用感や機能性、効能・効果がはっきり実感でき、かつ、それを裏付けるエビデンスデータが必要です。2020年に新設した “新研究所(Value Creation Lab-価値づくり研究所)” にはエビデンスが取れる様々な試験機や環境設定できる設備等を導入しています。それらをフルに活用し、今後、更なるベース処方の拡充とエビデンスを伴った付加価値処方の提案を行っていきます。」

しかし 、使用感とエビデンスだけでは、競争の激しい化粧品市場で勝ち抜くことはできないとも考えている。
「現在、大学との産学連携で新しい技術開発を行っています。新しいコンセプト、新しい技術を市場に投入して、「製剤技術」、「技術コンセプト」、「エビデンス」の3本柱で、お客様そして消費者に選ばれる企業になれるよう取り組んでいきます。」

鎌田の考える 「イノベーション」と「マーケティング」。その先の目指すことは、“顧客の創造と、お客様のご要望を叶える企業へ”。そして達成するために必要なことは3つ。
・製剤技術:触ればわかる。使い続けたくなる差別化された使用感と機能。
・技術コンセプト:新しい価値の提案。(技術、商品コンセプト)
・エビデンス:データに裏付けられた優位性と差別化。

鎌田は堀と同様、お客様と共に創り、共に成長するビジネススタイルを描いている。

「例えば、化粧品開発に参入する通販業界や異業種のお客様には、マーケティングに関して学ぶところがあります。私たちのミッションは、そのお客様のマーケティングを支える、確かな技術を提供することによって、“売れ続ける”商品を世に送り出し、消費者に新しい価値や喜びを届けることだと思っています」

STORY05

大きな期待に応え、
高付加価値事業へ育てていく。

化粧品事業を、当社の事業の柱となる「高付加価値事業」へと育てていく。鎌田と堀にとってその重要性を強く感じている。

「当社の強みは対応力。営業は顧客ファーストの視点であらゆる要望を受け入れ、研究開発・生産はその顧客要望を今まで蓄積された経験と新たな思考・技術で実現させてきました。また、そんな中、当社は新たな設備が必要となれば積極的な投資ができる財務力も発揮。それがこれまでの好業績を支えてきた要因です。それに加えて、社員の学びへの積極的な姿勢、固定観念にとらわれず変化に対応する姿勢を大切にする風土を活かして化粧品事業創出に邁進すれば、必ず結果は出る」と堀は力強く語る。

当社の化粧品事業は社外からも注目されている。「エアゾール業界で高いシェアを持ち、かつ、ブランドメーカーと組んで一つの市場を創造した実績を持つ当社は業界で一目置かれる存在です。その当社が化粧品ODM/OEM事業に参入したことで、業界、メディアから興味関心を集めているのです。そして、新たなお客様が他の化粧品ODM/OEMメーカーにはない当社の強みに惹かれ、新規取引の問い合わせも増加しています」

鎌田もまたビジネスパートナーである社外からの当社への期待を実感している。「これまで取引のなかった原料メーカーや資材メーカーの方々から、『エア・ウォーター・リアライズと一緒に組んで新たな事業を展開したい』という声をいただいています。新しいパートナーと新しい事業に取り組むことで価値づくりの幅が格段に広がり、それに伴って研究開発のレベルと開発スピードが格段に高まっていくと感じています。そんな期待感もあります」

また、前述の3本の技術の柱は、グルーバルへの展開に際しても重要なファクターとなり得る。「イノベーション」と「マーケティング」に加え、SDG’sの視点で 『グローバル、特にアセアンを中心としたアジアへの事業拡大』 への寄与について研究員全員が視野を広げるべきだと考える。

一方、「エアゾールのプロ集団であると同時に、化粧品のプロ集団の両立へと変革していく」と、当社のあるべき姿を描く堀は、「それを実現する社員皆が生き生き働ける環境をつくり、社員皆で協力し合って、高付加価値事業に育てていきたい」と語る。

新たな事業への継続的な挑戦に挑むエア・ウォーター・リアライズの真価が問われるのはこれから。未来への楽しみは尽きない。